ホロスコープの記事や本を読んでいてよく思うことがある。
それは、ハウスとサインが混合されすぎだということ。
例えば山羊座に天体があることと10ハウスに天体があることは別物なのである。
よく牡羊座は1ハウス的、牡牛座は2ハウス的、双子座は3ハウス的…という風に対応して解釈されるが実は適切ではないという説がある。私はこれを支持している。
もちろんハウスとサインは全くの無関係というわけではないのだがルーラーが違う時点で混合すべきでないことは明らかだろう。
以下は今日で一般的な良く知られているサインのルーラー(支配星)
牡羊座:火星
牡牛座:金星
双子座:水星
蟹座:月
獅子座:太陽
乙女座:水星
天秤座:金星
蠍座:冥王星(火星)
射手座:木星
山羊座:土星
水瓶座:天王星(土星)
魚座:海王星(木星)
そしてこれに対応してハウスも
1ハウス:火星
2ハウス:金星
3ハウス:水星
4ハウス:月
5ハウス:太陽
6ハウス:水星
7ハウス:金星
8ハウス:冥王星
9ハウス:木星
10ハウス:土星
11ハウス:天王星
12ハウス:海王星
という見識が正式かのように広まっているのだが、これは正しくない。
本来は
1ハウス:土星
2ハウス:木星
3ハウス:火星
4ハウス:太陽
5ハウス:金星
6ハウス:水星
7ハウス:月
8ハウス:土星
9ハウス:木星
10ハウス:火星
11ハウス:太陽
12ハウス:金星
という「ハウスのルーラー」というものが存在するのである。
わかりやすい例として蠍座と8ハウスの例で解説する。
なぜか最近の占星術ではこれを無視して、例えば「8ハウスステリウムの方は、蠍座・冥王星的なんですね〜(話終わり)」という風になりやすい。確かに、8ハウスも蠍座も「財産」という意味があるのだがニュアンス的には異なることも多く…。
筆者は「蠍座=8ハウス」と断言はしない。8ハウスは意味合い的には、他者との事務的な取引のようなもの。結婚後の生活では、一方が他方の家庭に入ったり、親が亡くなったりすることも出てくるだろう。そんな時がまさに8ハウスの出番なのである。例えば不動産の契約や遺産相続の際の最適な態度は何だろうか?冷静な態度である。だから、8ハウスでは楽しいかどうか関係なく淡々と処理をする=「引き受ける」土星の力が良しとされるのである。8ハウスはこじれてしまえばドロドロになるが、もともとドロドロの性質ではなく現実的にこなす土星力がない時に問題が生じるのである。8ハウスはよく怖いと言われるが、これは土星的な怖さなのだと考えられる。現実を突きつけてくる恐ろしさ。また土星は時に死を意味する。
一方で、実は蠍座のサビアンシンボルには結婚生活やその後と解釈できる描写はなく(解釈は人によって様々であるが)、どちらかと言うと、一般的に7ハウス的な事象として広まっていることも蠍座のサビアンシンボルの中身だったりする。
社交・大人の損得計算などなど。
蠍座12度「大使館の舞踏会」
蠍座14度 「仕事をしている電話接続士」
などは良い例である。
また、蠍座の意味する「お金」は淡々としたものではなく人々の感情と結びついたものである。
たしかに人生での年齢期という意味では蠍座は8ハウスと一番近い。でも、一般的に思われているようなハウスとサインの深い結びつきではないのである。
これは他のハウス・サインの対応にも言えることだ。
例えば、と1ハウスの土星は牡羊座の土星と同じように、アイデンティティを受容しづらく困難がつきまとうという表現をされやすいが…実は土星は1ハウスのルーラーで土星は1ハウスに最適ということができる。それに対して牡羊座の土星はフォール(転落)で品位が良くないとされる。牡羊座と1ハウスは別物なのである。
このようにサインとハウスを順番に対応させると矛盾が生じてくるということである。
しかし、ネイタルチャートを読み解くための切り札としては面白いかもしれない。